傍に居たい

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 胸ぐらを掴まれ上に引っ張り上げられる。 首が絞まり息がしにくくなり友也は唸り声をあげる。 「う…ゴホッ……ゲホッ………。」  反応がつまらないのか男はあっさりと手を離す。 地面に落とされ友也は胸を押さえ蹲り咳き込む。 締め付けられるように痛く友也は息をあげる。 「天下一のラーメンは美味しいんだぜ。」 「……仁、よく行くの?」 隣に並び歩いている仁を見上げれば仁は自分を見下ろし「週一回は行く。」と指を一本立て子供みたいな笑顔を見せた。 普段、クールなのに時々子供っぽい顔を見せる仁に玲志の胸は高鳴り頬を染めつれるように小さく笑みを零す。 「………常連なんだ。」 「そうなるかな?」 クスクスと笑っていた仁が急に「アレ?」と少し驚いた声を出すから玲志もその視線の先を追い掛ける。 その先には知らない男と座り込んでいる友也が目に映る。 いい雰囲気ではない様子で付け加えて男が友也を殴ろうとしていて仁は慌てる。そんな時、甘ったるい声が耳に届き思わず振り返る。 部活の帰りであろう姿にその肩から掛かっているものを見て仁は何かを思いついたらしい。
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