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“キャアァァァ~っ!!”
“HARU~~っ!!”
「‥‥ウッセェーよ。
テメエら歌
聴きに来たんだろ?
黙れよ‥」
相変わらず‥
誰かさんにそっくりだな‥
私は年甲斐も無く
ライブハウスに来ていた。
周りは若者ばかりで‥
私だけ浮いている様で
ならないが‥
大好きな清春のライブ‥。
浮いていようが
場違いであろうが
気にしてなんていられない。
演奏が始まると
小さいライブハウスは
一気に温度が上昇し
耳をつんざく音と
熱気に包まれた‥
小さい箱が割れそうだった。
「真理っ♪ど~だったっ!?」
清春は若い女の子を
蹴散らす様にして
私の所へやって来た。
「久しぶりに興奮しちゃた♪
それにみんなスゴく
カッコ良かった♪」
「みんな。って‥
ソコは俺って言えよ…」
私は笑ってごまかした。
だって‥
“何あの人?”
“学校の先生?”
“親戚の人?”
“HARUの彼女っ!?”
“ナイナイ。”
“つーか‥ムカつく。”
まだ耳が
ボワンボワンしてるのに
こんな音だけは何故か
良く聞こえる‥。
「HARU~先行くぞ~」
ボーカルの子が私に会釈をして清春に声をかけた。
「ァア‥真理っ♪行こっ♪
今日はとことん
付き合ってもらうからなっ♪」
清春は昔と変わらない笑顔で
私の腕を掴んだ。
私の腕を掴む清春の手は
あの頃より
随分と大きくなった。
Kiyoがプレゼントした
お子様用のギターでは無く
お小遣いを貯めて買った
ギターが様になるくらい‥
とは言っても‥
清春はこの春
小学6年生になったばかり。
清春以外のバンドメンバーは
ボーカル・ベース・ドラム
みんな大学生だった。
(清春は勿論ギター)
異色のバンド‥
だって‥メンバーの中に
まだランドセルがいる‥。
しかし‥それが‥
スゴイ人気だった。
「あの‥満島清春さん‥
少しお話が‥」
私よりもっと場違いの
スーツ姿の男性が
声を掛けてきた。
「ァア~!?今急いでんだよ!
勧誘ならYOSHIに言って。
真理♪階段気ぃ~つけろよ♪」
清春は慣れっこの様に
スーツ姿の男性をかわした。
私も‥事務所の勧誘の人かと
思っていた。
しかし‥
スーツ姿の男性は‥
「アナタの
本当の父親の事で‥
お話があります」
と‥言った。
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