またいつか・・・

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またいつか・・・  荒々しく流れる川の向こうに見ず知らずの彼を見送ったのは一体いつのことだろう。 荒々しく流れる川の向こうに君を見て、此方に手招きしたい手を片手で押さえ込んだのは一体いつのことだろう。 「この辺の薬草は殆ど摘んでしまったわね」 「先生ぇ、向こうの山の麓には行かないんですか?」 「向こうの山の麓は今戦の最中なんですよ・・・終わっていたとしても薬草は踏みつけられているでしょうね」 「はぁ」 黒髪をきちんとまとめ助手を引き連れ山に一人の若い女性が薬草を摘みに山を登ってきていた。 「全く、戦なんてするだけ無駄ですよね、先生」 「そうですね」 「怪我人だって死人だって多く出るっていうのにっ」 「・・・戦が落ち着いたら怪我人の手当に向かいましょう」 「はい!先生」 山を下りながら道ばたの野草の話を助手と弾ませていた。 村の様子が見える所までやってくると彼女は助手を一足先に村へ帰した。 「お気をつけて!」 「ええ、貴方もね」 手を振り、傾斜に助手の姿が隠れると茂みの方へと近づいた。 木枝が揺れて葉がかすれて音を立てる茂みの元にずきんを巻いた青年が倒れていた。 うめき声が微かに響く。 「!?ごめんなさいっ、予想していたよりも深傷のようね・・・」 様子をハッキリ悟った彼女は手持ちの治療具を慌てて取り出した。 「あんた・・・」 顔を自力で上げるその青年に先ほど摘んだ火傷に効く薬草を患部貼り付けた。 「いっ・・・て・・・」 「声が上がるなら命に別状はないかしら」 「あんた・・・医者か?」 「えっと・・・私の父が医者なので・・・私は・・・」 「そうか、女医なら珍しいもんだと思ったんだが」 「期待に添えなくてごめんなさい」 「いや・・・」 包帯を巻き付けられる腕を見ながらそう言った。 青年は顔も傷だらけの泥まみれ。 顔を洗うために近くの小川まで彼に肩を貸しながら移動した。
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