設小

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俺ん中では冗談だったんだけど お前は何でも素直に受け止めるよな そういうとこが面倒くせぇんだよ 「だからさ、冗談だっつってんじゃん」 散らかった室内。 さっきの喧嘩の跡がくっきり残ってる。 まぁ喧嘩つっても相手が一方的に手当たり次第に物を投げ付けてきたんだけど。 原因は俺が お前がいなくなっても代わりはいくらでもいる と口走ったせいだ でもさ本気で言った訳じゃねぇよ? いつもいつでも側に居るお前なら声色一つで冗談だって気付いてくれると思ったんだけどな。 見込み違いか。 「…嫌いです…」 「あ?」 「あんたなんて…だいっきらいだっ…ッ!」 突然踵を返したと思ったら勢いよく扉を開けて部屋を出て行く。 しんとする空っぽの中で溜め込んだ溜め息を吐いて 俺も頭を無造作に掻きながら後を追った。 ―カンカンカン― 電車が通る線路に道を塞ぐ棒が降りてきた これで足を止めるだろう 安堵して俺は足を止めた その時 棒が降りる寸前に小林が線路の中に入って行った。 おい、ちょっと待てよ 猛スピードで走ってくる電車が近付いて来るのに対して小林は 俺の方を向いて涙を頬に伝わせながら 笑った。 お前の冗談は 次元を越えてるよ 無意識に足が動いた 一本の線を越え 視線が重なった小林を 抱き寄せた ― ― ―……… 無情にも電車は止どまることなく 抱き合う二人は 宙を舞った。 おわり。 氏ネタですねごめんなさいね。反省。
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