そして物語が始まる

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  「あなたは一体、何を悩み我々の元へお越しになられたのですか?」  直筆で書類にサインを描くファイエットを傍目に、白髪混じりの神父と思しき者が『聖水』を一杯、杓に注いだ。 (キティ……ウェンディ……クリス……)  つい最近に起きた、多様な宗教が新興される原因となったとある出来事。  彼の住む、潮の満ち干きの影響を受けやすい────故に「水の都」と謳われる────地、ヴェネツィア。  そこを中心に訪れた、彼等を絶望の縁へと追い込んだ"カタストロフィ"。  彼もまた、それに巻き込まれた一人なのである。  
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