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そんなことを話していると、キルが姿を見せた。挨拶もなく僕を一瞥しただけで、すぐに実行委員に向き直る。僕はグッと奥歯を噛み締めた。
「遅れてすまなかった。少し問題が起きてな…」
「いえ、大丈夫ですよ。それでは控え室にご案内しますね」
僕のことなど目もくれず、並んで歩く二人の後ろを黙ってついていく。通されたのはテーブルとソファがある立派な部屋。テーブルの上にはバスケットがあり、中にお菓子がたくさん入っていた。
「試合開始まであと30分あります。もうだいたいルールなどは分かっているとは思いますが改変されたところもあるので、これを読んでおいて下さい」
渡されたのは大きく「タイステル祭」と書かれた白い冊子。パラパラとめくると、細かい字で規定などが詳しく書かれていた。ルールを簡単に言うとこうだ。
①2対2で戦い、どちらも戦闘不能になったら負け。また、コート外に出た場合も失格と見なす。
②使い魔、魔武器の使用は可。
③戦闘不能になった敵に、更なる攻撃は禁止。行った場合は即失格とする。
④戦闘は2人で協力して行うこと。この武闘会の目的は技術力の向上の他、個性の発揮や協調性・柔軟性の育成にある。よって一度も魔法や武器の使用がなかった生徒がいた場合、そのペアは失格となる。
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