タイステル祭

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ジフは、俺のことをどう思っているのだろう。少なくとも、彼は今まで俺のことを覚えていてくれていた。俺が知らない間、静かに寄り添い助けてくれていたのである。 (俺は…そのことについてまだ、ちゃんとお礼も言ってない) ジフに、ブァレンに、伝えたいことはたくさんあった。一番最初に、彼が俺を助けてくれたあの日からブァレンと過ごした短い時間の思い出が、どれだけ俺の力になっていたか。ブァレンは俺の目標で、想い人でもあったのだから。何物にも代えがたい、唯一無二の存在だった。 俺はこれから、彼のことを本当に忘れてしまうという。今までも靄がかってはいたがちゃんと思い出すことはできたのに。しかし俺の中から彼という存在がいなくなったら、後に残るものはなんなんだろう。 『なぜ、力を欲したんですか』 (彼に近づくためだ) 「分からない。家の為でしょうか」 『恋をしたことは』 (一度だけ。そして今も) 「どうでしょう。初恋のことは遠い昔のことすぎて」 考えれば考えるほど、何が正しくて何が間違っているのか分からなくなる。もういい。今は試合に集中しよう。油断して、予選敗退なんてことがあっては…とここまで考え、ブァレンがいることを思い出した。 「それは、ないな」 きっと彼は完璧なフォローをしてくるはずだ。ほかの奴らには悪いが、負ける気なんてどこを探しても見つからないんだ。 ―
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