プロローグ

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ギィ、ギィ……。 天井から垂れる縄が振り子のように揺れ、軋(きし)む音を響かせる。 縄の先にはだらりと力が抜け、人形のように生気のない手足と胴体が、首を支点にしてぶら下がっていた。 喉元に縄がきつく締まり、蒼白した黒髪の少年を支えている。 もともと色白な少年の肌はさらに血色を失い、伸びた手足は硬直していた。 「首……り……だ」 誰かがそう言ったのを、私は覚えている。
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