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いつもしてきたように、朝起きてフロントの掃除と朝食を運ぶことを欠かさず、洗い立てのシーツを交換して、バッチリ整えることを欠かさず‥‥そんな日々に不満を持ったことはないし、死ぬまでやり続けてもいいとも思ってた。
今度のお客様が、どうやらヤクの売人等ではないということは、部屋のシーツを替えているとき、隣から漏れた会話の中でわかった。
「半年‥以内にですか‥‥?」
「あら、止められない理由でもあるの?」
「だって、もう何十年も戦争してるんですよね‥?どっち側も相手のことは恨んでるだろうし、人一人とっても、相手の大事な人を殺したかもしれないし、殺されたかもしれないし‥‥」
「そんなの大したことじゃないわ」
「また問題発言を‥‥」
何を、言ってるのだろう?
つい興味がわいて、壁に耳を押し付け、盗み聞きを試みた。しかし―
「ねぇ、この建物‥‥」
「何よ」
「一見石みたいだけど、槌で踏み固めた草だ。しかもかなり薄い。会話が隣に漏れてるんじゃない?」
―ギクリ!!
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