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「それで? おまえは手伝ってくれないわけ?」
少年の笑み=悪戯気/少女の反応は予想済みとばかりに。
少女――妖艶に笑み/少年の頬に手を/唇を耳元へ。
「ご冗談を。私は貴方様の刃。身も心も貴方様に捧げた、一振りの刀です」
「ふふ、お前のそういう人間臭いとこ、俺好きだよ?」
少年+少女――顔を見合せて微笑/いつものじゃれ合い=幸福。
「……それで、どうするんだ? ムウの小僧よ」
第三の声――呆れたように。
「あ、すみません。では改めて手合せ願えますか?」少年――涼しげ。
「お灸を据えてあげてくださいね」少女――冷静。
「まったく……。親父殿にどやされても知らんぞ」
第三の声=男=ファルシムの長――褐色の肌/火色の眼/隆々たる体躯/緋色の民族衣装/激しくも皆を導く篝火のおもむき。
「仕方ない。――やるぞ」男――傍らの女に呟くように言う。
「ムウの若様相手に、大人気のないことをなさらないでくださいね」
女=男の従者×拳――紅の髪/紅の瞳/紅の意匠/儚くも生気に満ちた紅葉の印象。男の手を取り瞼を閉じる。
「わかってはいるが……保証できんな。あの小僧、なかなかに強者だ」
男の対応=どこか楽しげ。
刹那/眩い光/女の輪郭が溶け/男の両腕に=手甲――金属質な焔色。
「いくぞ、小僧!!」
男の咆哮/猛然と駆け出す。
「来たぞ! 様子見だ。こちらも手甲で頼むよ」
少年――少女に向かって手を差し出す。
少女のため息――どう考えても真っ向勝負する気満々の主に呆れ/掌を重ねる。
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