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「……もう好きにしてください」
少女が姿を変える=漆黒の手甲。
少年――その重みを感じる/満足げ+高揚した笑み。
衝突=互いの右拳。
鈍い金属音/刹那/爆撃音/眩い焔。
ファルシム=炎の獣たる一族。
弾き飛ぶ少年の右腕――連動するように体も後方へ。
「うわっ」
一回転/二回転/三回転/……/ごろごろと。
少年――両手を地面に/倒立/跳躍/着地――なおも勢いは衰えず。平衡/足に力を/ようやく静止=大きな土煙。
《大丈夫ですか?》
耳の裏に囁き=手甲と化した少女。
「ああ。やっぱりすごいなぁ」少年――のうのうと感嘆/裏腹に浮かぶ冷や汗。
《あの方相手に肉弾戦は無理があるんですよ》
「はは、かもな。でも……やってみなくちゃ、わからないだろっ」
少年――突撃/土煙を破り/男の元へ。《まったく……》呆れた少女の囁き。
一瞬の後――顔を突き合わせる少年×男。
驚愕を浮かべる男=予想外の少年の疾さ/獣のごとき所作。
ムウ=強靭たる肉体を有する獣の一族。
少年――体を沈め/拳を振るう/目標=男の顎下。
男――僅かに後退/空を切る少年の拳。
男の追撃――燃える右拳=文字通り。
少年――咄嗟に防御/手甲を盾に。激音/軋む/痺れる/飛び散った火の粉が頬を焼く。次なる一撃の前に後退=身体能力を見せつけるように大きく大きく跳躍。
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