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なんとか入学の繰り越しに成功した俺は、玄関で靴をはく。ちなみに俺が着ている服やこの靴は昨日の内に買っておいた。そのせいで五万は無くなったが。
「お母さん、行ってきます」
「お母さん、お昼ご飯は外で食べていきますから」
「はいはい、行ってらっしゃい」
「…………」
ガチャ
ガシ!!
玄関のドアを開いて外に出ようとすると、誰かに肩を掴まれた。ものすごく痛い。
「一君?」
「?……!…行ってきます」
「はい行ってらっしゃい♪」
そして俺は最後に外に出る。出かける時の挨拶をするのにすっかり忘れていた。
(反省反省っと)
「何してたのよ……?」
愛理は不機嫌そうにツインテールにした髪を触っている。
「何でもない、どこ行くんだ?」
愛理を軽く流して美沙子を見る。こいつの相手は正直苦手だ。出来る限り無視するのが大事だと思う。
「久しぶりに服が見たいので服屋さんに行きます」
「了解…っ!」
急に愛理が俺の足を踏んできた。どうやら素っ気ない態度をとったのに腹がたったみたいだ。
「ふんっ!」
「?……どうかしたんですか?」
(美沙子は気付いていないのか)
心配かけないよう、俺は適当に説明する。あいつは足が早いな。
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