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暖かい太陽光と涼しげな風を受けながら、俺達島本同士は駅についた。近隣の古着屋に行けばいいと思ったが、それを言うと何故か怒られた。品揃えが悪いのか?
「一君、汽車に乗った事ないんですか?」
切符販売機で立ち止まっていると、美沙子が助けてくれた。
「ふん、世間知らずなのね」
「かもな、知らない事が多いんだよ俺は」
実は汽車や電車に乗った事はあるが、切符の買い方だけ分からない。滅多に乗らないし、いつもは親や親戚と一緒に乗るんだが、その時は先に座ってろと言われただけで乗り方なんて分からない。
「はいどうぞ、受付の人に渡したら返してくれるので、それを受け取って降りる時に渡して下さい」
「分かった、ありがとう」
「……ほんと恥ずかしい」
美沙子が代わりに買ってくれて、二人が先頭に入った。俺は美沙子に言われた通りに渡すと判子を押された。
「モテモテだね君、カッコ悪い所見せちゃいけないよ」
「考えておきます」
多分応援してくれたんだろう。受付の人は半笑いで俺の背中を叩いてきた。
(馴れ馴れしいな……ちゃんと仕事しろよ)
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