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「すいません、妹でした」
折れた。流石のレーガンもその泣き顔には折れざるを得なかった。
なにせ、嫁と瓜二つな少女なのだ。そんな彼女の泣き顔を前に、我を通すことを良心は許してくれるだろうか。いや、許しはしないだろう。
「うん、やっぱりお兄ちゃんじゃないや」
「おい」
一瞬、女の子の微笑みに邪悪な何かが乗り移ったように見えた。
アニメか何かで言うのなら、どす黒いオーラにまみれた美少女の微笑み、だ。
「それよりお兄ちゃんに私追われてるんです」
「なんの事でしょう」
自称嫁から言葉が発せられる度に、ついつい返事をしてしまうレーガン。
「あ、今の言葉に『に』はいらないです! ごめんなさい!」
ピクリと、レーガンは眉を動かした。
「それよりおいちゃん、私追われてるんです」。どさくさに紛れて至福の言葉『お兄ちゃん』まで否定しやがったな、と。男は少し悔しくなって心の中で舌打ちをする。
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