第一章 不幸なオヤジの伝説

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        † 「お腹減った?」 家につくや否、レーガンは手にしたものを全て床に落としてしまった。 それもそのはずである。なにせ部屋の前の手摺りに、シスターの格好をした意味不明な少女が、文字通り干されていたのだから。 「い、いいえ……今はそれ程でも……」 しかし、そんな不可思議なことに対しても冷静に対応しようと努めるレーガン。そして、彼女の問いに真剣に答えたのだ。 「ほんと?」 ふと顔をあげた少女の綺麗な長い銀髪が、サラリと揺れる。しかしそのエメラルドの瞳は、獲物を狙う獣のようにギラギラと輝いていた。 「……、はい」 彼女の視線は、何やら彼の右腕に下げられたコンビニ袋に向いている。恐らく中身のつまみを狙っているのだろう。 それを察したレーガンは、今更ながら「今は空いてますと言うべきだっか」と後悔の念に捕われはじめた。
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