第一章 不幸なオヤジの伝説

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  「すいません、妹でした」 折れた。流石のレーガンもその泣き顔には折れざるを得なかった。 なにせ、嫁と瓜二つな少女なのだ。そんな彼女の泣き顔を前に、我を通すことを良心は許してくれるだろうか。いや、許しはしないだろう。 「うん、やっぱりお兄ちゃんじゃないや」 「おい」 一瞬、女の子の微笑みに邪悪な何かが乗り移ったように見えた。 アニメか何かで言うのなら、どす黒いオーラにまみれた美少女の微笑み、だ。 「それよりお兄ちゃんに私追われてるんです」 「なんの事でしょう」 自称嫁から言葉が発せられる度に、ついつい返事をしてしまうレーガン。 「あ、今の言葉に『に』はいらないです! ごめんなさい!」 ピクリと、レーガンは眉を動かした。 「それよりおいちゃん、私追われてるんです」。どさくさに紛れて至福の言葉『お兄ちゃん』まで否定しやがったな、と。男は少し悔しくなって心の中で舌打ちをする。  
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