第一章 不幸なオヤジの伝説

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  コンビニの自動ドアが軽快に開く。すると、店内に充満していた冷えた空気がドッと溢れ、レーガンの全身を包み込んでいく。 左手から聞こえる、店員の「いらっしゃいませ」。そこでようやく彼は、いつもの現実に引き戻された。 がんがんに効かせた冷房の風が、妙に気持ちがいい。いっそ全ての事を忘れ、ここで全裸になってしまおうかと思うほどに、心身ともに気持ち良さを感じてしまう。 ところで彼は、店員の顔をホットスナックボックス越しに一瞥すると、すぐに店内の清涼飲料水売場へと足を向けた。 そこへ行く途中、アイスボックスが目に入り、不意にそこへ手をかざすレーガン。 指先からひんやりとした感覚が走り、背筋を通り脳天へと突き抜けていく。 ブルリと、アソコも震え上がり、そしてまた萎える。 そして、ようやく清涼飲料水売場へと辿り着いたレーガンは、閉じられた"夏の神の聖域"への扉に手をかけた。 そして、いつもの様にヱビスと書かれたビールに手を伸ばすのだが……
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