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「なぁ。サクト」
オートピアレジェンツ大陸のコエナン地方ラツ村。
エメラルドグリーンの髪と同色の瞳を持つ十五歳の少年にシルバーの長い髪と同色の瞳を持つ同じ年の少年は話しかける。
エメラルドの髪を持つ少年の名はサクト。
少女にも負けない細い身体の持ち主である。
そのサクトには劣りはするがそれでも男性にしては細い少年レオ。
武器としてサクトは護身用のナイフ。
レオは腰に刃引きされた大剣を持っている。
今は夜。
草木も眠ると言ってもおかしくないくらい静かだ。
「何? レオ」
サクトは問い返す。
「何で剣士と魔術師は対立しているんだろうなぁ?」
対立が無かったら俺達はこんなこそこそ会う必要ないのに。
「仕方が無いよ。何千年も前からそうなんだから」
「だってよぉ~~。恋さえ自由にできないんだぜ?」
剣士という学科に属するレオは友サクトと同じ学科に属するアリスという少女が好きなのだ。
「嘆いても仕方が無いだろ」
この世界は友達を作るのにも手厳しいが恋愛に関してはもっと厳しいのだ。剣士と魔術師は相容れないとされている。
「本当はそうじゃねぇのにな」
現に剣士レオは魔術師サクトという友を作っている。他にも魔術師アリスにレオの友達サラという少女剣士がいるのだ。
「確かこの事態の大元は約二千年に誕生したと云われる最強剣魔術師『エクレナ』にあるんだったな」
「そうそう」
サクトの言葉にレオはまるで最初から知っていたかのように頷いた。
「何故エクレナが原因か知っているか? レオ」
問われたレオは一生懸命考える。
「うぅ~~えぇ~~っと……って、知らねぇ~~よ! そんなこと」
「逆切れするなよ」
「うっ……」
その通りなので言い黙るレオ。
サクトはふと指折り数え始めた。
「三点だ」
「?」
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