日常

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第三者の少女の声が響いた。 ついで草陰から細い少女が姿を現す。 ローズピンクの鮮やかな長い髪は高い位置で二つに結び、宝石の様なワインレッド色の瞳を輝かせている同じ年の少女だった。 「アリスちゃん!」 「おっと? こっちも忘れているわよ!レオ」 またもや少女の声が聞こえた。 だが、聞こえたのは声だけで姿は見えない。 レオは反射的に刃引きされた練習用の剣を抜く。 「遅いわ!」 その声がした時少女は既にレオの背後に居た。 「……」 レオは声をあげる事ができない。何故なら少女の刃引きされた剣が顔の右隣をかすめていたからだ。 「これで二十連勝!」 少女は感激のあまりウサギのように飛び跳ねた。 アリスとは対照的なアクアブルーのふわりとした髪が揺れる。 刃引きされた剣を持っている以外は普通の少女となんら変わらない服装をしている。 一方レオは唸りながらその場に崩れ落ちた。 「ぅわぁ~~最悪! この俺がこんな奴に負けるなんて……ありえねぇ! サラ! もう一回勝負しろ!」 サラと呼ばれた少女はベーっと舌を出した。 「や~よ! 先に『十勝した方が勝ち』って約束でしょ?約束は守らなきゃ!」 「……と言うよりもレオ、相手が二十勝あげるまで一回も後ろを奪えなかったのか?」 「しかも一つ年下のサラさん相手に?」 サクト、アリスの言葉に何も言い返せないレオ。 「うぅ~~」 「さぁてレオ? 約束よ? 今日の模範試合はアリスの対戦相手で出てもらうから」 「げっ!」 「レオ君……やはり私の相手など引き受けて下さらないのですね?」 アリスは本当にがっかりしたらしく半分涙を浮かべている。 大好きな女の子が自分のせいで泣いていると感じたレオは必死で慰めにはいった。 「ゎわ! ちっ、違うよ! アリスちゃん! お、俺は、ただ」 「連敗記録を伸ばしたくないだけだよな? レオ?」 「ぅ……」  図星のようだ。 レオは更に落ち込み、アリスはきょとんとしている。 「う~~ん! レオの事よく分かっているなんてやっぱりサクト君ね~~」 「れ、レオ君? それなら私……」 「加減してもらえ」 「うんうん! そうよね!」 「み……皆なんか大嫌いだ~」
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