第一章 前兆-daydream-

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「…聖杯」 時間停止などという物は魔術で再現できるものではなく、魔法の領域である そして、魔法使いは五人(正確には何人かは消滅しているが) 更にその中で、魔法「時間旅行」を可能とするのはただ一人 その規格外、世界に一人の時の魔法使い その名はミス・ブルー、蒼崎青子――― ―――なのだが、ただの学生に過ぎない彼は、彼女が所持する魔法について知る由もない それでも、その一人だけの魔法使いが、この町に訪れているとはどうも考えにくいものがある ならばこの異常な事態の原因は魔法使いではなく、聖杯、と考えるのが妥当であると彼は判断した 彼は驚きつつも、沸き上がる興奮を抑えられずにいた 今まで何も得られなかった聖杯についての情報が、いきなり目の前に転がってきたのである、これを幸運と言わずして何と言おう 彼は諦めかけていた願いに再び火が灯るのを感じた
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