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「…聖杯」
時間停止などという物は魔術で再現できるものではなく、魔法の領域である
そして、魔法使いは五人(正確には何人かは消滅しているが)
更にその中で、魔法「時間旅行」を可能とするのはただ一人
その規格外、世界に一人の時の魔法使い
その名はミス・ブルー、蒼崎青子―――
―――なのだが、ただの学生に過ぎない彼は、彼女が所持する魔法について知る由もない
それでも、その一人だけの魔法使いが、この町に訪れているとはどうも考えにくいものがある
ならばこの異常な事態の原因は魔法使いではなく、聖杯、と考えるのが妥当であると彼は判断した
彼は驚きつつも、沸き上がる興奮を抑えられずにいた
今まで何も得られなかった聖杯についての情報が、いきなり目の前に転がってきたのである、これを幸運と言わずして何と言おう
彼は諦めかけていた願いに再び火が灯るのを感じた
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