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『汝、聖杯を求むる者なりや?』
何処からともなく、ノイズの混じった、男とも、女ともつかない中性的な声がする
「…あぁ、そうだ」
彼は"ソレ"が意志と呼べるモノを持っている事に驚きつつもそう答える
声が、いや、"ソレ"の雰囲気が、笑うような、楽しむような雰囲気に変わった
キシム キシム キシム キシム
『―――曲がる、紛る、凶る、禍る』
彼は自らの後ろ、ヒトがいるはずのない場所に何か、粘りつくように強大な何かが在ることを知覚した
『―――愚かな歯車、廻りて理を軋ますか』
だって彼は橋の欄干に身を預けていた。ヒトが後ろにいる筈が無い
『―――焉わりの時は目の前に』
「―――!」
彼は考えるよりも早く、無意識に、自らの底から訴えかける本能に従って、振り返―――――
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