第一章 前兆-daydream-

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『汝、聖杯を求むる者なりや?』 何処からともなく、ノイズの混じった、男とも、女ともつかない中性的な声がする 「…あぁ、そうだ」 彼は"ソレ"が意志と呼べるモノを持っている事に驚きつつもそう答える 声が、いや、"ソレ"の雰囲気が、笑うような、楽しむような雰囲気に変わった      キシム  キシム キシム  キシム 『―――曲がる、紛る、凶る、禍る』 彼は自らの後ろ、ヒトがいるはずのない場所に何か、粘りつくように強大な何かが在ることを知覚した 『―――愚かな歯車、廻りて理を軋ますか』 だって彼は橋の欄干に身を預けていた。ヒトが後ろにいる筈が無い 『―――焉わりの時は目の前に』 「―――!」 彼は考えるよりも早く、無意識に、自らの底から訴えかける本能に従って、振り返―――――
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