第一章 前兆-daydream-

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―8月某日 昼 現見大橋 「…ここまで露骨な気配を漂わせときながら、全く手掛かりが見つからないなんて…」 彼の名はユニ・エイラス 時計塔の学生であり、成績、容姿、人が言うにはオーラまで、何処にでもいそうな、何をとっても平凡な男である そんな彼がこんな極東の地にいる理由 ―――無論、万能の願望機…聖杯の噂を聞き、疑い半分で探してみようと決心したのである 疑い半分と言っても、遊び半分ではない 彼は真剣であった 聖杯にかけるべき強固な願いがあった しかし同時に、彼は自身がソレを得られる器で無いことも確かに理解していた 「腹減ったなぁ…もうすぐお昼か…」 半分諦めつつ、彼は意気込んでこの地に踏み込んだものの、強大な魔力の気配は感じられても、その発生源がどこか全く分からない ―――という奇妙な状態に見舞われていた 少々くたびれて昼食にしようと思った彼が、近くの時計を見たところで、時計の針は丁度、12時を指そうとしていた
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