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―8月某日 昼 現見大橋
「…ここまで露骨な気配を漂わせときながら、全く手掛かりが見つからないなんて…」
彼の名はユニ・エイラス
時計塔の学生であり、成績、容姿、人が言うにはオーラまで、何処にでもいそうな、何をとっても平凡な男である
そんな彼がこんな極東の地にいる理由
―――無論、万能の願望機…聖杯の噂を聞き、疑い半分で探してみようと決心したのである
疑い半分と言っても、遊び半分ではない
彼は真剣であった
聖杯にかけるべき強固な願いがあった
しかし同時に、彼は自身がソレを得られる器で無いことも確かに理解していた
「腹減ったなぁ…もうすぐお昼か…」
半分諦めつつ、彼は意気込んでこの地に踏み込んだものの、強大な魔力の気配は感じられても、その発生源がどこか全く分からない
―――という奇妙な状態に見舞われていた
少々くたびれて昼食にしようと思った彼が、近くの時計を見たところで、時計の針は丁度、12時を指そうとしていた
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