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針が天を指したその刹那、世界が凍った
比喩的な表現などではない
自分の周りのあらゆる事象が停滞していたのだ
道行く人々の足は踏み出した空中に留まり、橋の下を流れる川の流れもまた、見紛うことなく止まっている
空気は重くざらつき、息苦しささえ感じる程に、彼の肺をじっとりと満たしている
・・・・・・・・・
そう、時間が止まっているのだ。
「な…なんだよこれ…」
彼は世界から取り残されたような錯覚を覚えながら、辺りを見回す
しかし、いくら見回せど動いているのは自分ばかり
―――とは言え彼も魔術師の端くれである
常に優雅たれとは言わない
しかし、ただ慌てふためいているだけでは格好が付かない
これはそういう物だと割り切ってしまえば、物を考える余裕というものが生まれてくるものだ
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