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全身に纏うオーラの量を増やしたため、深くまで突き刺さる矢は無かったが、それでも全身を駆け巡る痛みは、精神的にもダメージを与えた。
肩に一、太股に二、それから脇腹にも一。ずいぶん刺された。
痛みに堪えながらも、すぐに思考を切り替える。
「ボール──」
オーラを四方に散りばめ、それを形にする。
直後、俺と陸斗を覆うようなボール型の“結界”が形成された。
キンキンと、“結界”に矢がぶつかる音が何度も響く。
「大丈夫か?」
「足の腱をやられたっぺぇな。左足が動かねー」
陸斗のほうに目を向けると、肩に二本の矢が突き刺さり、アキレス腱を一本の矢が貫通していた。
あれは痛そうだ……。
「どっちみち空中戦じゃ、足は使わないだろ。我慢しとけ」
「槍投げるにも、足の力はいるってぇの……」
とりあえず、致命傷を負わなかったのは良しとしよう。
だが、安直だった。
最初の大雑把な光の矢の塊はフェイント。あれでエバンズには、光の矢しか無いと思い込ませるのが、奴の狙いだったみたいだ。
俺はその策にまんまと溺れ、警戒を疎かにした。
「やりづらい相手だ」
兎にも角にも、奴の居場所を突き止めないことには何も始まらない。
俺はオーラを放ち、新たな“結界”を発動した。
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