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いつの間に、こんな数の矢を……
そもそも、これほどのオーラに何故気付かなかった。
俺たちを囲う無数の矢は、宙に浮いたままその場で停止していた。
「我々に牙を向いたのがそもそもの間違いだ」
闇の奥から響く声が、崖の岩に反響し、木霊する。
少しずつその輪郭がはっきりしていく。
闇の奥から現れたエバンズは、勝ち誇ったように、声も出さずに笑っていた。
「驚いたか? 四方八方──それこそ隙間無くオーラを張り巡らすと、殆どの場合、オーラ感知の機能は麻痺する」
ご丁寧に説明を加えるエバンズの表情が、一々しゃくに障る。見下しているのが、一目で分かる。
俺は手元にオーラを留め、四方の矢に備えた。“結界”を最大の強度にすれば、何とか防げるかもしれない。
「“結界”も無駄だぞ? 知っているんだ、お前のその“結界”はウォール型のときしか、最大の強度を保てないことは」
ちっ、それも見越したうえか。
確かに、この矢全てを受け止めるには、ボール型の“結界”でないといけない。
しかし、ボール型では強度が不安だ。恐らく、この数の矢に耐えるのは、不可能だろう。
「選べ。我々に忠誠を誓うか、ここで死ぬか」
エバンズは高らかに言った。
「あいつ、相当自分に酔ってやがるな」
隣で陸斗が呟いた。
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