終わりへの始動

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吹き荒れる砂嵐に、一同が足を止める。 いつになく強いこの風が、砂漠の足跡を消してしまったため、痕跡を辿ることも出来ない。 菊池の意志を引き継ぎ、北へ進むほか、俺たちに選択の余地は無かった。 「ちょっと待て」 ワニの言葉に全員が振り返る。 ワニは風が吹いてきた方角──西のほうを見やり、鼻をピクピクと動かした。 「血の臭いがする」 その言葉に最悪のシナリオが過ぎる。 ワニの嗅覚は俺たちのそれよりもずっと優れている。きっと、間違いではないのだろう。 だとしたら……誰かが傷を負っている、もしくは死んでいる可能性が高い。 「行ってみよう」 仁が静かに呟くと、誰かが頷くわけでもなく、各々が足の向きを変え、歩みを進めた。 ゆっくりと進むその様は、その先にある現実から目を背けたい気持ちが、いくらか働いているためだ。 少なくとも、良い知らせなんてこの先には無い。 「浩太……お願い」 頼む。 杞憂であってくれ。 これ以上、仲間が死ぬのは見たくないんだ。
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