終わりへの始動

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菊池 聖夜 / 仁やカイト達、南の連中が出口へ向かう最中も、俺とギラーはじっと睨み合ったままだった。 二人だけとなった食堂には、いくらかの死体と血だまり、寂しくなるほどの静寂だけが存在した。 「最近は化け物相手が多いな……。何の縁だか」 返答があるわけもなく、俺は自嘲気味に笑った。 そうして、我が最強の剣──“草薙之剣”を正眼に構える。 ギラーはそれに合わせるように、腰の日本刀をゆっくりと引き抜いた。 かなり長い得物だが、奴が使うと普通のサイズの刀に見えるものだから恐ろしい。 「その図体で日本刀とは、何ともミスマッチだな」 ギラーが刀を構えると、カチャと音がした。ちゃんと手入れしているのだろうか。 「だが、面白い」 ──見せてみろ、お前の剣を! 俺は思いっきり地面を蹴り、ギラーとの間合いを一気に詰めた。
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