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脳を突き抜けるような痛みに表情を歪める。目の前のギラーの巨体が、二重三重にブレた。
そんな不確かな視界の中で、ギラーが刀を振りかぶっている。俺はそれを他人事のように見つめていた。
頭がうまく回らない──だが、それでも、命の危機だけは何とか理解できた。
何とか半歩分だけ後ろへ退くと、鋭い痛みが肩付近の皮膚を掠めた。
鮮やかなまでの返り血がギラーの胸元あたりに掛かる。そんなもの、気にも留めず、ギラーは左足を振り上げた。
「くぅ……ッ」
その足に合わせ、盾を構えるが、あまりのパワーに俺は盾ごと後ろへ殴り飛ばされた。
数十mも飛ばされた俺は後背に迫った壁を蹴り返し、瞬時にギラーとの距離を詰め直す。
「──ッ!?」
剣を頭上に構えてから気付いた──右手の感覚が、鈍い。
さっき肩の辺りを抉った斬撃のせいか……!?
力が思うように入らない手に焦燥感が募る。だが、土壇場で攻撃を止めるのは、もはや不可能だった。
「うおぉおぉおおおおぉッ!!」
構わん、このまま押し切る!
俺はそのまま力任せに剣を振り下ろした。
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