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ダメージ自体は思ったほどでも無い。だが、その衝撃に俺は狼狽するのか無かった。
心臓を失ってもなお、動くというのか?
「心臓の場所が違うなどと言うなよ。この拳は確かに貴様の心臓を潰したはずだ」
意味が分からない。
非現実が現実となる島──想像を絶するほどに非常識なアイランド。
慣れてしまったと思っていた、この非現実にさえも。
だが、まだこの島は……まだ俺の想像の先を行くというのか!?
「笑えん、本当に笑えん。腹立たしいほどにな!」
地面に転がる二つの摩導具。
ギラーはそのうちの一つ──“草薙之剣”を手に取ると、「アァ」と気味の悪い鳴き声を発した。
「パンプキン様をも越えろ、そういうことなのだろうな」
いいだろう、やってやる。
これが乗り越えられないというのなら、運営打倒など絵空事に過ぎない。
俺は“天の羽衣”を脱ぎ捨てると、大きく息を吐き出した。
誰かがこの島を“絶望の島”だと揶揄していた。的確な言葉だ。
だが、俺は言ってやりたい。
「絶望などクソくらいだッ!」
俺は、再びギラーとの距離を詰めた。
不死者。
そんなもの、俺は認めない。
生ある者には、必ず死がある。
そこに……例外は無い!
両手の拳を包み込む、オーラの渦。
それは俺のこの溢れんばかりの患者を表現するかのように、更なる高みを追い求めるかのように、激しく、どこまでも大きく膨れ上がる。
ギラーは静かに“草薙之剣”を振り上げ、その刀身にオーラを注いだ。
「アァアアアアァア゛……!!」
「うおぉおおぉぉおぉぉッッ!!!」
二つの力が、今、ぶつかり合う。
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