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それは、五感を根こそぎ持っていってしまうほどの、大きな爆発だった。
俺はその光と衝撃の中で、必死に意識を繋ぎ留め、じっと耐え続ける。
どれほどの静寂があっただろうか。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
俺は、ただただ生きていることを実感した。あたかも、それが勝利であるかのように。
見ると、左腕は肘から先が無くなっている。あれほどの衝撃なのだ、腕一本で済んだだけマシだろう。
恐ろしいほどの脱力感を覚えつつも、俺は変わり果てたその光景の中で立ち上がる。
そして、その姿を捜した。
「く、」
いた。
あの場から一歩も動かずに、ギラーは立ち尽くしていた。
その手には、刀身が砕けた“草薙之剣”が握られている。
「アぅぅ」
奴は、生きていた。
ゆっくりと一歩が踏み出される。
全身から煙を立ち上らせながら、奴は一歩、また一歩と俺に歩み寄る。
しかし、怖くはなかった。
俺は諦めてもいなかった。
「化け物が……」
もうフラフラではないか。
「何故、そうまでして生きようとする。殺そうとする?」
俺は屈み込み、足下に都合よく転がっていたそれに手を伸ばす。
ギラーが使っていたガトリング砲だ。
「貴様という存在に、今度こそ終止符を打ってやる」
俺はそのトリガーを力強く押し込んだ。
俺の体内のオーラを吸い出し、ガトリング砲がそのエネルギーを弾丸に変換する。
ギラーはただ静かにその弾丸の全てを受け止め、なおも前進を続けた。
「もう、やめろ」
死に抗うのは、もう……醜いだけだ。
ギラーが立ち止まるまで、どれだけの弾丸を、このガトリング砲は吐き出したのか、見当も付かなかった。
俺に手が届くまで後少し──5mほどにまで迫ったところで、ギラーは静かに、機械的に停止した。
そして、そのままピクリとも動かなくなった。
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