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前髪を撫でる心地よい風。
潮の香りが鼻を潤わせ、波の音が耳を優しく包んだ。
このままずっと眠っていたい。
──『おめでとう』
そんな思考の中、頭を過る不吉な声。それは、悪魔のような囁き。
あれは……夢?
ゆっくりと目を開ける。
広がるのは延々と広がる、綺麗な青い空。雲一つ無い。
「うぅん……あ、ああっ!!」
思い出したように上半身を起こす。
手の平には、サラサラとした砂の感触。
俺が横たわるのは、白い砂浜。
延々と広がるゴミひとつ無い綺麗な砂浜と、その白にも劣らない美しい海。
まるで、南国のような砂浜だった。
後背に広がるのは、全く別の景色を貼り付けたかのような深い森林。
俺は、圧倒的な大自然に唖然とするばかりだった。
ここは一体……?
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