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「何だよ、これ……」
もう考えるのは止そう。
全部、ハッタリに決まってる。
手の込んだ悪戯だ。
きっとすぐに警察が駆けつけるはずだ。
それまでの辛抱。
「キェエエエエェエエ!!」
後方からの不意の叫び声で、肩がビクつく。
甲高く、鋭く耳に響く叫び声。
ひどく耳障りな音だ。
雄叫びとも取れる、その叫び声はすぐ近く──砂浜の後方に広がる森のほうからだった。
俺は思わず身構える。
辺りを見回す。
身を隠せそうな場所は無い。
「いやあぁああっ!!」
雄叫びの聞こえた森のほうから聞こえる女性の悲鳴。
まさか、この叫び声の持ち主に襲われたんじゃないのか?
俺は竦む足を必死で動かし、森へと駆け出した。
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