アイランド

8/21
前へ
/1539ページ
次へ
「何だよ、これ……」 もう考えるのは止そう。 全部、ハッタリに決まってる。 手の込んだ悪戯だ。 きっとすぐに警察が駆けつけるはずだ。 それまでの辛抱。 「キェエエエエェエエ!!」 後方からの不意の叫び声で、肩がビクつく。 甲高く、鋭く耳に響く叫び声。 ひどく耳障りな音だ。 雄叫びとも取れる、その叫び声はすぐ近く──砂浜の後方に広がる森のほうからだった。 俺は思わず身構える。 辺りを見回す。 身を隠せそうな場所は無い。 「いやあぁああっ!!」 雄叫びの聞こえた森のほうから聞こえる女性の悲鳴。 まさか、この叫び声の持ち主に襲われたんじゃないのか? 俺は竦む足を必死で動かし、森へと駆け出した。
/1539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18148人が本棚に入れています
本棚に追加