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儂は伊達を見送ると、炎を纏ったままの刀を鞘に収める。
「さて、と」
はぐれた二人を探しに行くとするか。
目を閉じ、二人のオーラのみに集中する。
うむ。だいたいの位置は把握した。
他のキメラに襲われていなければいいが……
「はぁ……」
自然と溜め息が零れる。
あの二人、伊達とは違う意味で厄介じゃな。特に、ホタルのほう。
おそらく、ホタルは儂をとことん疑っている。
無理もないか。
儂は泣き止まない赤子を必死に隠そうとしているようなもんなのだから。
この沼の件で少しでも信用を得るつもりだったが……
「仕方ない」
二人とはお別れじゃ。
二人には悪いが、これ以上疑われるのは不味い。
儂にとっても、運営にとっても、そして、あの二人にとっても……
儂は遠くに見える巨大な山を見据える。
あの山の麓には、運営の用意した町がある。
目指すのはその町。
そこへ行けば、この島では絶対に手に入らない物が簡単に手に入る。
儂は何を蹴落としてでも、目的を果たすのだから。
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