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しかしそんな僕の一つ目の願いはあっさりと叶えられ、もう一つの願いはあっさりと散った。つまるところ、その翌日から新宮は変わったのだ。
まず、四六時中握っていた金属バットがなくなった。野球部と並んで彼女の代名詞と言っても過言ではなかったというのに。
そして空席となった左手は僕の右手が居座った。
そんなわけで奇行もその日以来起きていない。うーん、愛って偉大だね!
ガラガラと扉を開ける音で、机に突っ伏していた僕は顔を上げる。委員会に出席してい新宮が帰ってきた。一瞬、輪になって談笑していたクラスメートが静まる。
「ごめんね、遅くなって」
貰ったとおぼしきプリントをくしゃくしゃに潰してゴミ箱に放った。
「ユリのせいじゃないだろ?」
模索して出した解答は正解のようで、新宮は口元を少し上げた後、顰(しか)めた。
「……ホントそう。全部あの無能糞委員長のせいよ。私達の貴重な時間を無駄にして自分の一生よりも何倍も価値あるのを分かっているのかなぁどうせ社会のゴミで役立たずなんだからせめて迷惑を掛けないよう野垂れ死ぬことを推奨するんだから。ね? そう思うでしょ?」
「ああ、そうだね」
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