Dear world

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坂を下るとすぐに丁字路に差し掛かる。 新宮の家は左、僕のは右、ようするにいつも左。 その背後の川では、おじさんが魚釣りをしていた。空き缶がたゆたい、底なんて見えやしない川で釣れるのなんてせいぜい外来種だろうに。 ところで、今でも新宮は世間一般から見て変わった人間だけど、それはあくまで性格上の範疇であって、かつてのような特殊的趣向は見られなくなっている。 それは彼女を愛する者としては非常に喜ばしいことだ。 しかしそんな彼女の噂がここ最近、まことしやかに囁かれていた。なんでも野良犬猫を虐待しているとか。 いや、仮に本当だとしても彼女には暴力とか罪とかの意識がないから、彼女からしたら虐待と言わないのだろう。 なんせそれはかつての日常なのだから。日常として染み着いたものを疑う必要がどこにある。 僕は、僕が彼女を愛することで彼女が救われるからこそ、彼女を愛しているのだ。 彼女にそう言われたから、僕は彼女の願いを守り、心の底から彼女を愛している。 しかしまた彼女が壊れて始めているというのなら、契約は破綻し、僕が彼女を愛する必要性など全くもってなくなる。 恋人間の裏切り行為の先に待つものは、別れだ。 まあ、彼女を愛するものとして、自分の目で見ない限り彼女を信じるけど。
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