高校生Ⅰ

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千を目の前にしてそう思ったら、緊張し過ぎたのか急に動悸が早くなった。 しかも、なんだか顔が…ってか体が物凄く熱い。…気がする… ヤバい…無駄に緊張し過ぎて冷や汗まで… そんな俺の様子が人から見ても不審に思える物だったのか、千は急に不思議そうな顔をした。 「…どうかしましたか?一佐くん… 顔が真っ赤ですが…」 「えっ!? や、あの…そのっ…えーと…」 か…顔が赤いだと!?俺の!? や、それは今はどーでもよくて、千に「好きだ」って嘘を… 「一佐くん?」 少し言葉を躊躇ってしまっていると、再度千に名前を呼ばれた。 嘘を吐くなら今だ。 「その…っ……うん… や、俺…実は… ……千の事……好きなんだ!」 「………………えっ?」 言った! ちゃんと真っ直ぐ千見て言ってやった! 鳩が豆鉄砲喰らった様な顔して…よし。マジで驚いてる。 このタイミングで「嘘だ」って… 「お前の事なんか好きでもなんでもねーよ!」って… ……や、それ… 酷くないか? よく考えたらこの嘘は相当酷い。 これは嘘でも吐いたら駄目な嘘だ。 人の気持ちを弄ぶ最低な… まるで小学生の低学年レベルの… そもそも、散々コイツの事怒ってはいるけど、実際千の事嫌いかと聞かれれば嫌いじゃない。 「好きでもなんでもねーよ」 とは、よく考えたら言えない。 や、でも、俺今全力で嘘吐いた訳で… ヤ…ヤバい… 引き返せない…!!image=447344447.jpg
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