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「死んだのか?」
突然言い渡された現実に、俺は思わず二度尋ねてしまった。
男は冷静に、冷酷に答える。
「死にました」
何度経験しても慣れない。
必ず乗り越えなければならない。
人間の死。
「なんてこった…」
モニターには、泣き叫ぶ高校生であろう姿が映し出されていた。
辛く、友を失った悲しみが、画面を越して痛く伝わってくる。
男は実験結果である資料を取り出した。
「おそらく第二の実験が過酷すぎたのだと。私から上に申請して、もう少しレベルを下げるように掛け合いますが…いかがなさいましょうか?」
レベル…
様々な事が頭をよぎったが、ここでの口論はまずい。否定はすべきではないな…
「そうしてくれ」
男は軽く会釈をし、部屋からでていく。
俺は一人になった。
「人間の死は、慣れる事はなさそうだ」
そいつは俺の友達に似ていた。
素直で明るくて泣き虫で…
自然と立場を忘れて、実験対象者である彼に感情移入していった。
「懐かしいな…、あの頃が…」
思い出す遠き日の思い出。
俺は…
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