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その次の夏から、本当にヒロミくんは来なかった。
庭の一角にたくさんの朝顔が咲いて、すべて種に変わっても。
それでも『 また朝顔が咲く頃に来るから』
『 いつかきっと来るから待ってて』
その2つの言葉を信じて毎年種を蒔き、花を数えた。
「ハナは朝顔が本当に好きなのね」
「うん」
お母さんもお父さんも私が朝顔好きだと思ってる。
好きだよ。
だけどただ朝顔が好きなだけじゃなくて、朝顔を一緒に数えたヒロミくんがすき。
朝顔を一緒に描いたヒロミくんが好き。
種を一緒に集めてくれたヒロミくんが好き。
ヒロミくんが次に来たときもちゃんと咲いていて欲しいから、頑張って育てているんだもん。
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