ラベンダー

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キスマークとか難易度高すぎ。 「でもそんなの2年ももたないもん」 言いながらあることに気がついた。 これだ! 「心配ないよ」 「うん」 心の中で、帰ったらすることを思い描いてちょっと気分が上向いた。 いつもなら少しくらい残業することもあるのに、今日は終業時刻になったとたんにタイムカードを押して、1番に会社を出た。 バスに乗っている間ももどかしく、降りた途端に家までダッシュ。 我ながらヒロ君のことになるとどうしてこんなに頑張れるんだろうって笑ってしまいそうになる。 実際お母さんは髪を振り乱して帰ってきた私に大笑いしてた。 「お母さん、今年咲いたラベンダーまだあったよね」 毎年夏に咲くラベンダーをポプリにして、香りを楽しむのが母の趣味の1つ。 防虫効果もあるからみんなのタンスにも、小さな袋に入れたサシュ(匂い袋みたいなもの)を入れている。 たしかまだドライハーブのままのラベンダーが瓶に入れてしまってあったはず。 「あるわよ。お母さんの部屋のクローゼットの中よ」 「ちょっともらうね」 自分の部屋に行くよりも先にお母さんの部屋に飛び込んだ。 .
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