ラベンダー

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一瞬で視界が涙で覆われて、キラキラ光っている手がはっきり見えない。 「ありがとう。ヒロ君のことばっかり考えてたから、自分の誕生日なんて忘れてた」 「りおは本当に可愛いな。寂しいかもしれないけど、いっぱいメールするし、電話もするから、ちゃんと待ってろよ」 「うん」 いつも強気のヒロ君が、あんなすごいプレゼン決めちゃうヒロ君が、ヤキモチ妬いてくれるなんて嬉しすぎる。 それって私のことそれだけ好きってことでしょ。 でも、きっと私のほうが絶対好きだもん。 どうしてもラベンダーで作りたかった理由はね、『あなたを待っています』って花言葉だからだよ。 心の中で呟いて、抱きしめてくれるヒロ君の腕の中でそっと目を閉じた。 .
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