クリスマスベゴニア

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最近急に寒くなってきた。 朝ベッドから出るのにも一苦労。 気合を入れて、えいって布団を跳ね除ける勇気がなかなか出ないのに、目覚ましは容赦なく午前7時に鳴り響く。 もうちょっと、後5分なんて思ってもそれは自分の首を絞めるだけ。 「あ~、寒い」 無理矢理起き上がって、出窓に飾ったクリスマスベゴニアにおはようの挨拶をして、今日も衣替えしたばかりの制服に袖を通した。 どうしてクリスマスベゴニアなのか、それは私が先生に恋してることを知っているママからのメッセージ。 嫌いじゃないけど、早くこの花から卒業したい。 よし、今日は先生が来る日だからと、思うだけで気分も浮き足立つ。 塾にはどうしても馴染めなくて、今年高校2年になってすぐから家庭教師の先生に来てもらっている。 とっても素敵な先生で、大学2年生。 教え方がとってもわかりやすいし、英語の発音がとても上手い。 聞いててうっとりしてよく注意されるくらい。 「早く放課後にならないかな」 そんなことを言ったところで時間はマイペースに過ぎているのだけど。 .
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