ポインセチア

2/10
前へ
/210ページ
次へ
街を歩けばあちらこちらでジングルベルが鳴り響き、キラキラした飾りで埋め尽くされる。 コートの前をしっかり閉めてぐるぐるとマフラーを巻きつけたあなたが、いつものようにラッピングされたポインセチアの鉢植えを抱えてくるのが待ちきれない季節。 学生の頃からだから、もう何年になるかなんて考えるのはもう止めた。 半同棲状態の私達だけど、いつも新鮮で目が離せないあなたのお陰で充実している。 「ただいま」 「おかえりなさい」 「はい、綺麗なの見つけたよ」 もうそろそろかなって思っていたら、やっぱり今年も真っ赤なポインセチア。 カメラマンという職業がら、大きな鞄を肩から提げているのに、そんなことも気にすることなく大きな鉢植えを抱えている姿にやっぱり笑顔が浮かぶんだ。 実は12月22日産まれの私の誕生花。 毎年この花を飾るたびに、『ずっと健吾と一緒にいられますように』って柄にもなく神様に願う。 付き合いだした頃から、誕生日プレゼントなんて貰ったことないけど、この時期必ず健吾はこの鉢植えを抱えてやってくる。 ある意味私のサンタクロース。 .
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2760人が本棚に入れています
本棚に追加