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「いつもありがとう」
「さっき駅で聡と会ったんだ、後で来るって言ってた」
「久しぶりだね。じゃあご飯たくさん作るね」
聡というのは私と健吾の幼馴染。
確かこの近くに住んでいるはずだけど、お互い忙しくてめったに会うこともなくなっていた。
そんな聡が珍しく来るっていうのが嬉しくて、この時ちょっと様子のおかしな健吾に気がつくことが出来なかった。
しばらくして聡がビールの缶を提げてやってきて、明日の分に用意していた食材も合わせてたくさんの料理を作った。
「ちえの料理なんて調理実習以来じゃないかな」
「そうだっけ? これでも毎日作ってるんだから、あの頃よりは上手くなってるわよ」
「確かに、あの頃は酷かったもんな」
「失礼ね」
しかし調理実習で、切ったはずのきゅうりが全部繋がっていたというミラクルを起こしたのは、誰でもない高校生の私。
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