ポインセチア

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何とか食事をして部屋に帰り着くと、心ここにあらずの私をソファーに座らせて、聡が健太を寝かしつけてくれた。 気がつけばそのまま眠っていたらしく、ソファーで横たわる体に毛布が掛けられ、聡の姿がポインセチアの鉢植えと共に消えていた。 鉢植えがあったはずの場所には一枚のメモが。 ”14時、高校の前の公園に集合” 短い文章だけど、そこは私達3人にとっての思い出の場所であり、健吾から告白された場所で、初めてキスをした場所でもあった。 そんな場所へ行くことに戸惑いがないとは言わないけど、窓の外は久しぶりの晴天で、健太を連れて散歩に行くのも悪くないと思い直し、健太に防寒具を身につけさせて向かうことにした。 久しぶりの公園は、季節のせいか葉を落とした木々が寒そうに肩を寄せるように立ち並び、小さなブランコが風に揺れている。 危なっかしく走る健太が滑り台を滑る様子を眺めていると、自然と笑顔がこぼれる。 「ちえ……」 後ろから聞こえた懐かしい声に振り返ると、そこには昨日会った健吾が立っていて。 「健吾……どうして」 「聡に呼び出された」 .
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