ポインセチア

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「ちえ!」 今度は力強く呼ばれて、腕を掴まれた。 「俺の子? 聡じゃなくて?」 「聡は違うわよ。親切にしてくれてるけど」 「そうか……、てっきり……」 昨日私達の姿を見て誤解していたらしいけど、私には健吾だけなのに……。 「内緒にしててごめんね。でもちゃんと1人で育てられるから」 あのまま誤解しててもらったほうがよかったのかなって思っても、もう健太がばらしてしまったから後戻りは出来ない。 「冗談だろう? 俺とちえの子供なのに……」 「健吾の邪魔はしたくないの」 「邪魔なわけない! 3人で幸せになろう。もう一度ここからやり直そう」 「パパ……」 「いいの?」 「当たり前」 3人でマンションに戻ると、玄関の前には真っ赤なポインセチアの鉢植えが、メッセージと共に置かれていて。 “お幸せに   サンタより” そう綴られていた。 .
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