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「ねぇ、おやつわけてあげるから早く出ておいでよ」
「いっぱい遊んであげるよ」
大きく出っ張ったお腹に唇を押し当てて話す姿がたまらない。
そのほうがよく聞こえるだろうと思っているところが、わが子ながら可愛くて仕方がない。
「もういいだろう? 赤ちゃんがゆっくり眠れなかったらどうするんだよ」
「嫌だ~!」
「パパ離してよ」
両脇に海里と海瑠を抱きかかえて、海翔さんがリビングに行ってしまった。
実は出産予定日を明日に控え、重い体がだるくて仕方がない。
きっとそろそろなのだろう。
陣痛はまだだけど、そんな予感があった。
「ありさ、大丈夫か?」
私の体調の変化を瞬時に捉えた海翔さんが、ミネラルウォーターを片手に戻ってくると、私がいるベッドのはしに腰掛けた。
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