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夕方近くにもなれば、時計を気にする人が増え、フロアはそわそわとした雰囲気が漂っている。
誰もが今日だけは残業はごめんだとばかりに普段にも増して仕事が早い。
「幸恵、今日のお花見参加するよね」
「うん、そのつもりだけど」
花見でお酒の入ったありさを野放しになんてしたら、どんな虫が寄ってくるかわかったものじゃない。
遅れて来るであろう藤堂部長に引き渡すまでは、それを阻止するのも私の役目。
「でも、今日彼氏さんはいいの? いつも金曜日はデートでしょ?」
「いいのいいの。どうせ忙しいから、お花見してから行けばいいよ」
いつもは仕事が終わったらそのまま行って夕飯を作るんだけど、なかなか仕事の手を止めないから食べるのはいつも深夜。
少しくらい遅くなったところで気にするとは思えない。
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