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桜の精にでもなった気分。
夜桜のせいか尚更幻想的で。
髪や肩に乗る花びらもそのままに、しばらくその余韻に浸る。
掌に乗った花びらが次の風にふわりと舞い上がったとき、私の体は後ろから温かい腕に包まれていた。
舞い上がる花びらを目で追いながら、いつもの香水とタバコの香りにそれが誰かなんて聞かなくてもわかっていた。
「ふふっ、温かい……」
抱きしめる腕に力を込め、肩に顔を埋める愛しい人の腕にそっと手を添えた。
「桜と一緒に消えてしまうかと思った……」
切ない響きは耳を通って胸を熱くする。
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