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背中を通して彼の鼓動が伝わる。
「消えたりしないよ」
宥めるように腕をポンポンとすれば、ようやく緩む腕。
顔を見たくて振り返れば、見るより先に奪われた唇。
同じ公園にいる同僚達に見られるかもしれないと思う余裕も与えてくれない。
「寄り道してこんなところに1人でいるってどういうこと? 襲われたいの?」
甘いセリフを期待していたにもかかわらず、耳に届いたセリフに思わず絶句。
「寄り道じゃなくて、今日は会社のお花見で来てるの。みんなが集まるまで1人で眺めてただけよ」
お花見のことなんて話していないから知らなくて当然なんだけど。
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