バラ (薄オレンジ)

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「とりあえず人が多いし移動しようか」 「うん」 私の荷物をヒロ君がさりげなく持ってくれて、また惚れ直しちゃう。 会社が用意してくれたらしい車に揺られてヒロ君のアパートへ。 ハンドルを握るヒロ君を初めて見た。 お花屋さんの前で車を止めると、ヒロ君が案内してくれた部屋に向かう。 階段で3階に上がってすぐの部屋。 日本のアパートとは全然違って緊張。 窓から見える街の景色もなんだか映画みたいで、日本じゃないんだって改めて思う。 殺風景な部屋だけど、窓がたくさんあって日当たりがいい。 「紅茶いれるから座ってて」 「ありがとう」 ソファーに座ると目の前のテーブルに一輪だけの薄オレンジのバラ。 ヒロ君が花を飾るわけないし、誰か女の人? 一気に体中の血の気が引いた。 .
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